SMS産廃コラム

産廃許可の申請

産廃許可の申請から事業の開始に向けて

産廃許可とは?でも説明した通り、 産廃許可とは都道府県知事(政令指定都市の場合は市長)が廃棄物処理法で規定されている産業廃棄物並びに特別管理産業廃棄物を排出する事業者から業として、収集・運搬・処分をする事業者にその処理を許可・交付する証明書です。

申請手続きを行い審査に通過しなければ許可証の取得はできません。
この許可を取得していない業者が産業廃棄物を処理すると、不正処理とみなされ、処理(収集・運搬・処分)した業者だけではなく、ゴミを出した排出事業者にも罰則が科されます。

産業廃棄物処理業の許可証は産業廃棄物の収集運搬や処分を受託する業者にとって必要不可欠です。産業廃棄物を排出する事業者との委託契約には必ず許可証の写しを添付しなければなりません。

これから産業廃棄物処理業の許可を取得し事業を始めようとしている方必見!

このページでは最大級の利用者数を誇る業務改善システムをつくる株式会社エスエムエスが産廃許可の仕組みから業廃棄物収集運搬業許可と産業廃棄物処分業許可の取り方や申請の際に確認しておきたい事について分かりやすく解説しています。

1.許可の基準について

廃棄物処理法で規定されている産業廃棄物並びに特別管理産業廃棄物を排出事業者から業として、収集・運搬または処分する場合には産業廃棄物収集運搬業または処分業の許可が必要となるわけですが、いざ産廃許可を取得するためには様々な要件をクリアしてないといけません。ここでは産業廃棄物収集運搬業許可と産業廃棄物処分業許可の申請の際には他の許可と同じように人やお金、設備等の要件があります。
その要件がどのようなものか確認して計画を進めていきましょう。

事業の用に供する施設に係る基準(施設に係る基準)

「事業の用に供する施設」とは運搬に使う車両、船舶、容器とその駐車施設、洗車施設が該当します。
また、積替え又は保管を行う場合は、積替え施設、保管施設、積替え作業に必要な重機等も必要になります。
また、施設に係る基準として「産業廃棄物の種類に応じ、その収集又は運搬に適するもので、飛散し流出し、悪臭が漏れるおそれの無い施設(車両や容器)を有すること」とされています。また、特別管理産業廃棄物では「加えてより厳重に、その収集又は運搬に適する施設を有すること」とされています。

したがって、収集・運搬を行う予定の産業廃棄物の性状、形状、取扱量などに応じた車両、容器などを用意しておく必要があります。
例えば、保有している車両が土砂等の積載禁止であれば、土砂やがれき類等は運べませんし、液状の廃油や汚泥等を運ぶ場合にはこぼれない容器等が必要になります。
許可取得の申請時には、車両や容器等の写真も必要になりますので、産業廃棄物収集運搬業の申請前には用意をしておきましょう。

駐車場に関しても、運搬に必要な車両等を置いておく使用権限や車両等に見合ったスペースが無ければなりません。
これらの具体的な情報や要件は各自治体や業界団体に問い合わせると教えてもらえますので、確認しておきましょう。

申請者の能力に係る基準(的確に行うことのできる知識・技能)

(的確にかつ継続して行うに足る経理的基礎)(賃借対照表・損益計算書・納税証明書等)

「知識・技術」については「公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センターの講習会で収集運搬課程(新規)を受講し、修了証の交付を受けた者」と事業を的確に行うに足りる知識・技術を有するものとみなしています。
収集運搬業許可を申請する法人の役員または政令使用人、個人事業主の場合にはその申請者または政令使用人がこの講習会を終了していることが条件です。
この講習会は日程や開催場所が決まっているため、急には受けられない可能性もありますので、まずは確認、予約をしましょう。
「経理的基礎」については「事業において利益が計上されず、債務超過の状態(赤字状態)にある場合」などは、継続的な営業ができないおそれがあるととらえられるかもしれません。ですが、産業廃棄物収集運搬業として継続した営業(利益の計上)が可能であることを事業計画等を作成し添付することによって経理的基礎を有すると認められる場合もあります。

欠格要件の有無(欠格要件に該当しないこと)

法第14条第5項第2号または、法第14条の4第5項第2号(特別管理産業廃棄物)では、法に遵った適正な行を遂行することが期待できない者として下記の欠格要件条項として規定しています。対象となる者は法人の役員、株主、出資者、法定代理人、法人や個人の政令使用人、申請者が当該条項に該当しないことが必要です。

①精神の機能の障害により廃棄物の処理の業務を適切に行うに当たって必要な認知、判断および意思疎通を適切に行うことができない者。 破産開始手続きの決定を受けて復権を得ない者
②禁固以上の刑に処せられてから5年を経過しない者
③廃棄物処理法等の環境関連法、刑法などの法律違反によって罰金以上の刑に処せられてから5年を経過しない者
④廃棄物処理業、浄化槽清掃業の許可を取り消された者で取消の日から5年を経過しない者(廃業した場合も同じ)
⑤暴力団員又は暴力団員で無くなった日から5年を経過しない者
⑥暴力団員等がその事業活動を支配する物
⑦その業務に関し不正又は不誠実は行為をする恐れがあると認めるに足りる相当の理由がある物

対象者は
1)法人及び法人における役員等、
2)法人における政令で定める使用人、
3)個人事業者及び個人事業における政令で定める使用人、
4)申請者または役員等が未成年者である場合の法定代理人

なお、産業廃棄物処理業の許可後に該当することとなった場合には、せっかく取得した許可は取り消されます。
許可によってはそのまま保有を許されるものもありますが、産業廃棄物処理業許可については厳しく管理されています。
許可を取った後の保有条件についても考えておく必要があります。

これらの要件を確認したら、いよいよ産業廃棄物収集運搬業の許可申請の手続きです。
書類の作成や証明書などの準備を進めていきます。

2.許可の申請

産業廃棄物処理業の新規講習会の日程を調べ受講する

産業廃棄物処理業許可の講習会

公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが実施する「産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会」の修了が必要です。

講習会には、複数の種類がありますが、産業廃棄物の処理業(新規)の該当する課程を受講します。
現在では講習会は自宅や会社等のパソコンで講義動画を視聴して受講し、後日会場で試験を受ける2段階形式の講習会です。丸2日間お仕事を休むことになります。
また、受講することになる人は個人事業主の方は事業主本人、法人の場合には登記された役員の方です。事業主の方が奥さんに行ってもらったり、法人で暇な従業員さんに行ってもらうということはできません。

無事試験に合格すると修了証が10日前後で届きます。この修了証の写しが許可申請に必要です。
オンラインでの合否確認ができたりwebから修了証をダウンロードできる場合もあります。

申請先や申請窓口

許可申請先窓口のイメージ

産業廃棄物収集運搬業と産業廃棄物処分業の許可申請先は、個人法人を問わず都道府県知事です。
収集運搬業許可では積み込先と持っていく処分場が都道府県をまたがる場合には、それぞれの知事に収集運搬業許可申請をしなければなりません。

例えば、東京都の現場で積み込を行い、千葉県の処分場にもっていく場合には事業所が東京であっても、東京都と千葉県の産業廃棄物収集運搬業許可が必要です。
事業計画で、どこで処分するかの記載があり、それによって必要な都道府県の許可申請先が変わってきますので、事前に確認しておきましょう。

また、各都道府県で産業廃棄物収集運搬業として営むために必要な書類や確認するポイントなどが異なる点が多くあり、同じ書類を提出すればOKという訳に行かない場合もあります。申請先に確認しておくことをお勧めします。

申請先は各都道府県知事ですが、申請の窓口は産業資源循環協会などの業界団体に委託している場合もあります。講習と同じように申請も予約しなくてはなりません。時期によっては申請受付するまで1ヶ月以上先になる場合もありますので、早めの予約を申請窓口にしておきましょう。
予約をせずに急に持って行っても受け付けてくれません。また、申請書類は郵送ではなく、直接提出に行かなくてはなりません。

また、申請書類は都道府県庁やwebサイトで入手、証明書等の添付書類は各官公庁で入手できます。
提出書類の免許申請書などの様式等の法定書類については、各都道府県庁やそのwebサイトで入手して必要事項を記入していきます。
また、登記簿謄本や身分証明書などの公的証明書をはじめとした提出書類についても用意します。個人の証明書類に関しては本籍地で取らないといけないものなどもありますので、早めに確認しておきましょう。収集運搬に使う車両や容器等の写真も必要ですし、申請する人や業区分によって書類が変わってきますのでしっかりと確認します。

申請書類や添付書類を作成する

産業廃棄物処理業許可の申請に必要な書類は控えめに言って少なくありません。こちらは一例ですが、一つひとつ確認しましょう。
※申請する都道府県により必要書類に多少の違いがありますので申請先の窓口で必ず事前に確認をしましょう。

  • ① 産業廃棄物処理業許可申請書
  • ② 誓約書
  • ③ 経理的基礎に関する事項
  • ④ 事業計画及び取り扱う産業廃棄物の種類
  • ⑤ 登録車両一覧表、登録船舶一覧表
  • ⑥ 登録車両の写真、登録船舶の写真
  • ⑦ 収集運搬に使用する容器の写真
  • ⑧ 定款の写し
  • ⑨ 法人の登記事項証明書
  • ⑩ 住民票
  • ⑪ 成年被後見人等に該当しない旨の登記事項証明書
  • ⑫ 賃借対照表(直近3年)
  • ⑬ 損益計算書(直近3年)
  • ⑭ 株主資本等変動計算書(直近3年)
  • ⑮ 個別注記表(直近3年)
  • ⑯ 法人税の納税証明書
  • ⑰ 講習会修了証の写し

また、本籍地入りの住民票と身分証明書(個人事業主の方は本人分、法人の場合には役員と5%以上の株式を保有している株主のカナ全員分)も用意する必要がある都道府県もあります。
さらに運搬車両すべての車検証が必要であったり、車体の写真については、前から全体を1枚、横から全体を1枚、ナンバープレート拡大を1枚とか、左右両方の全体を2枚とか様々なルールがあります。

必要な書類や証明書がそろったら、その他の確認資料を整理しながら申請書を作成していきますが、駐車場の案内図や配置図、事務所の案内図などを求められる都道府県もあるので注意が必要です。
この中でも手間がかかるのが「事業計画」です。どの品目の産業廃棄物の許可を取得するのか、石綿含有物はあるのか、水銀使用製品はあるのか、等品目の決定がまず有って、その品目がそれぞれどこ(予定)から出て、どこ(予定)へ持っていくのか、月間の運搬量は品目ごとにどれくらいありそうかということ等を書いていかなければなりません。 都道府県によっては、予定排出事業者の社名・所在地、予定運搬先の処分場の所在地や社名も書く必要があります。特に予定運搬先が取得する品目の処分場の許可を持っているかどうかは確認しないといけません。
あくまでこれらは一例です。例えば「○○県に申請に行ったときは必要でなかった」とか「△△県ではそんなこと言われなかった」と言っても通用しません。都道府県によっては様々なルールがありますので、申請する各都道府県のルールを事前によく確認しておきましょう。

申請書と必要書類がすべて揃ったら、副本用(控え)として必要な部数のコピーをとって、書類を決められた順番に上から重ねて綴じます。コピーした書類を使い副本用も同様に閉じれば、提出用書類は出来上がりです。
申請時には申請手数料も必要になりますので注意しましょう。

申請日の予約

申請は予約制です。
ある程度申請書類や添付書類が準備できたら各都道府県の窓口やwebサイトで申請日の予約をしましょう。
申請書類の重要な項目がしっかりと準備できていないと、予約した申請日に申請書類を持って行っても受理されない可能性もあります。申請に馴れている方であれば書類が準備できていなくても、行程や待ち期間を少しでも短縮するため、目途が立った段階で先に予約を完了させてから書類を完成させるという事も出来ますが、初めての申請の場合にはあまりお勧めしません。書類の準備が完了し入念に確認をした後に予約をしましょう。

申請から許可取得までの審査期間は40日から60日(休日を除く)と規定されていることが多いですが、各都道府県によって多少の違いがあります。受付からどれくらいの期間で事業が始められるか逆算しておきましょう。

2か所以上の都道府県で申請した場合などは許可日が異なることもあり、一斉に事業が開始できるわけではありませんので注意が必要です。
また、会社登記をすると法人税がかかる為、許可が下りるまでの期間も法人税を支払わなくてはならないこともあります。許可の取得要件と取得までの期間は必ずチェックして創業スケジュールを立てましょう。

各都道府県の担当窓口で申請

遅刻はNGです。なぜ予約制なのかは行ってみるとわかりますが、申請書類を1枚ずつチェックし書類同士を漏れがないか行ったり来たりしながら確認していくためです。
事業計画については、書類に記載していない詳細についてもその場で質問されることもあります。書類を持って提出すればOKではなので何も知らない従業員さんや奥さんとかに申請に行ってもらうのはやめましょう。

3.許可の審査から許可証の取得

審査期間

無事に申請書類が受理されると審査期間に入ります。

申請書類が受理されるイコール待っていればOKという訳にはいかないケースもあります。
まず審査では欠格要件の非該当性を確認します。破産手続きや犯歴調査、許可の取消履歴などのデータは集中管理されていない為それぞれ管轄機関に個別に照会しています。したがって、この欠格要件の非該当性が確認されるまでは申請書類の審査は進んでいません。
欠格要件の非該当性の確認が終わった後で申請書類の内容について審査が行われますが、忘れたころに申請内容についての照会や補正の連絡を受けることがあります。ですので、審査結果が出るまでの間は申請書類の副本(控え)はいつでも取り出し、必要事項について応答できるようにしておかないといけません。

許可の決定

審査期間を終えて申請内容の補正等の対応が終わり、又は補正が無ければ許可決定となります。
許可証の受け取り方法は各都道府県によって違いがあります。いきなり許可証が送られてくる場合もあります。

4.事業の開始に向けて

収集運搬車両への表示を施す(発注する)

産業廃棄物収集運搬業の場合、許可証が届いたら収集運搬車両に、社名・産業廃棄物の収集運搬車両である旨・許可番号の表示をしなければなりません。
これは車体に直接塗装する方法や、マグネットシートを貼り付ける方法、車体にカッティングシートを貼る方法など、その手法に制限はありません。綺麗に仕上げるため専門業者への発注を行う場合もあると思いますが、やはり行程や期間短縮のため許可決定を待たず前もって車両表示の発注をすることはできません。
なぜなら表示する必要のある許可番号が判明するのは、許可決定の後の許可証を確認して初めて判明するからです。

いよいよ事業の開始

このようにして、ようやく産業廃棄物処理業の事業を開始することができるようになります。

事業開始後の準備としてマニフェストの管理や売上管理など様々な業務が発生します。 もちろんその業務には手書きの書類や電子書類など様々です。
株式会社エスエムエスでは産廃マニフェストの発行から計量受入システム、販売管理システムなどを作成しています。
困りごとを解決したい場合はこちらからもお問合せできます。

写真「フリー写真素材ぱくたそ 」より

5.よくある質問

産廃許可が不要になる場合はありますか?

産廃許可は他人の事業活動に伴って排出された法律に定められた廃棄物を、業務として収集運搬する場合に必要となります。

排出した事業者が、廃棄物を自ら収集運搬することは「他人」の事業活動ではなく自己の事業活動に伴って排出された廃棄物の収集運搬になりますので、産業廃棄物許可を得ることなく収集運搬することができます。

例えば、建設現場の下請け業者が、現場で発生した廃棄物を収集運搬することは「他人」の事業活動に伴って発生した廃棄物の収集運搬になりますので、産業廃棄物収集運搬ん許可が必要となります。
これとは逆に、元請業者が現場で発生した廃棄物を収集運搬する場合には自己の事業活動に伴って発生した廃棄物の収集運搬ですから、産廃収集運搬許可を得ることなく収集運搬をすることができます。

収集運搬に用いる車両は大型トラックなどの専用車両でないといけないの?

いいえ そんなことはありません。

事業の用に供する施設に係る基準では「産業廃棄物の種類に応じ、その収集又は運搬に適するもので、飛散し流出し、悪臭が漏れるおそれの無い施設(車両や容器)を有すること」とされています。
扱う産業廃棄物を飛散・流出・悪臭の発散のおそれが無く運べるのであれば、一般的な車両でも許可が下ります。

しかし、車検証に記載されている「最大積載量」と「車両の台数」は事業計画の基準項目となります。取り扱う予定の廃棄物を無理なく運べる最大積載量を有する車両を選定する必要があります。
また、車両の種類によっては運ぶことができない車両もあります。
例えば、車検証に「土砂の積載禁止」または「土砂禁止」と記載がある場合には「がれき類」等を取り扱うことはできません。

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